CROSSTALKプロジェクトストーリー
技術商社としてパートナー企業の製品とともに、
お客様に合わせた制御システムの構築で
工場の効率化を図る当社。
ここでは、とある食品メーカーの
制御システム更新プロジェクトに
携わった4名から、
プロジェクト成功までの道のりや、
仕事に対する想いを語ってもらった。
- 澁谷 崇
- 電子工学科卒
1998年入社
四日市支店
セールスエンジニア
- 日置 秀
- 音響学科卒
2004年入社
四日市支店
システムエンジニア
- 谷口 紘子
- 情報処理学科卒
1998年入社
四日市支店
ソフトウェアエンジニア
- 古川 忠彦
- 情報処理学科
1994年入社
四日市支店
サービスエンジニア
制御システムの更新は、
ソフトの「解析」から
- 日置
- 7年ほど前に行ったこのプロジェクトは、澁谷さんがお客様との関係を築いて得ることのできた、大きな新規受注案件でしたよね。
- 澁谷
- そうですね。私は入社してから数年間サービスエンジニアとして働いていた経験があり、その知識を生かしながら、セールスエンジニアとしてお客様先で色々とお手伝いをさせていただいていたんです。その中で、製造工場内の制御システムを見せていただいた際に、古くて使い勝手の悪いものであったため、「もっと利便性の高いシステムで、業務を効率化しませんか」とご提案をしたことがきっかけでした。
- 日置
- お客様は食品メーカーで、油のろ過装置を制御するシステムでしたよね。私はシステムエンジニアとして、澁谷さんがお客様からヒアリングした内容をどのようにシステムに具現化するかを考え、社内と協力会社との橋渡しを行っていました。このプロジェクトでは、そもそも本当にシステムを新しいものに更新できるのか、また、更新した際に現地で不具合が起こらないかなどの確認からはじまったことを覚えています。こうした部分は、谷口さんに色々と助けていただきましたよね。
- 谷口
- 本当に、あの時は大変でしたよね。私は、このプロジェクトにソフトウェアエンジニアとして携わりまして、このシステムとソフトは元々他社でつくられたものであったため、既存ソフトの解析からスタートしました。最も大変だったのは、この解析作業です。正確な解析を行うにはトラブルの内容を把握する必要があったため、何か問題が起きたら土日でもお客様に電話をいただき、そのまま現場に直行するなんてこともありました。しかしながら、同期の澁谷さんが受注した初めての大きな案件だったため、ここは同期のためにも頑張ろう!と、粘り強くソフトの設計と作成を行っていましたね。
- 澁谷
- ありがとうございます!こうした連携力は、当社ならではの強みでもありますよね。全体の流れとしては、このようにお仕事をいただく、内容を煮詰める、ソフトをつくるまで行ったら、最後に現場で「立ち上げる」の工程があります。そこは、サービスエンジニアの古川さんにお世話になりました。
- 古川
- こちらこそ、澁谷さんには色々と助けてもらいました。当社は、横河電機製品を主に取り扱っており、私はサービスエンジニアとしてその製品を現地で立ち上げる役割を担っています。今回のプロジェクトでは、そうした製品の中に谷口さんがつくられたソフトを組み込み、システムとして現地で作動するかなどの確認を行っていました。その他にも、随時行う点検やトラブル対応、さらにはメンテナンスなども担っています。基本的に、システムエンジニアである日置さんと密に連携を取りながら、作業を進めていきましたね。
他社には真似できない、
付加価値を探して
- 古川
- このプロジェクトの特徴は、タブレットを用いたワイヤレス化の実現ではないでしょうか。それまでは、制御システム専用のパソコンを用いて、特定の場所からしかデータを確認することができなかったのが、タブレットを導入することにより現場で直接確認できるようになりました。当時は今ほどタブレットが普及していなかったこともあり、当社でも初の試みでしたよね。導入には非常に苦労したことを覚えています。
- 日置
- そうですね。本来パソコンで行うべき作業をタブレットで行わなければならず、その制約の中で「できる、できない」の線引きをしながら調整していくのは、非常に大変だったと記憶しています。また、タブレットを用いることから、システムの根底から考え直さなければならなかったので、「どうやって実現していくか?」という部分から検討を重ね、実際にシステムで実現するためにはどのようなソフトを組めばいいのかを谷口さんに相談していました。さらには、ワイヤレス化の実現のため、現地に行って無線のアンテナを設置し、どこまで無線が飛ぶのかを歩いて調査したりもしましたね。
- 古川
- 裏側ではそのような地道な作業が行われていたんですね。谷口さんはその時、どのようなことをされていたんですか?
- 谷口
- そうですね。無線の部分で言うと、1台の無線アンテナでは範囲が広すぎて届かないエリアがあるので、エリアごとに分けて複数機設置していたんです。すると、エリアの間を行き来する際にどうしても通信が途切れてしまう問題があり、無線をどの位置に設置すればその問題を解消できるか、日置さんと現地に行って試行錯誤していました。また、どうしても切れてしまう場合は、無線が切れた際に一々パスワードを再入力するなどの手間を避けるため、ダブルクリックだけでシステムに入り直せるような仕様にするなど解決策を探っていましたね。すべてを叶えることは難しいですが、なるべくお客様の意向に添うためのヒアリングは大切にしていました。
- 古川
- そうなんですね。澁谷さんは、セールスエンジニアの視点から大変だったことはありますか?
- 澁谷
- やはりお客様とのコストの交渉ですね。お客様側としてはなるべくコストを抑えたいという考えは当然あると思います。そのため、社内ではどこまで安くできるかを調整しつつ、一方で、開発にかかる必要な費用はどうしてもいただかなければならないので、それをお客様にご納得いただけるよう、どう説明するかは苦労しました。それを解決したのが、「タブレットによるワイヤレス化」だったんですね。このシステムを当社ならではの付加価値としてご提案することによって、他社との差別化ができ、受注に至ったのだと思います。古川さんもおっしゃられた通り、当社としては初の試みだったので不安もありましたが、見事に皆さんがシステムを実現してくださいました。無事に納品できた時は、感謝の気持ちがこみ上げてきたとともに、これが当社のチーム力なのだと実感しましたね。
新しい挑戦が、
可能性を無限に広げる
- 谷口
- 先ほどのタブレットもそうでしたが、このプロジェクトでは新しい挑戦がたくさんありましたよね。
- 古川
- 本当にそう思います。パネルコンピューターの導入もその一つですよね。
- 日置
- ありましたね!たしか画面を壁の中に入れ込むという制約があり、マウスとキーボードが使えないため通常のパソコンを入れられず、パネルコンピューター、いわゆるタッチパネルになったんですよね。
- 古川
- タブレット同様、当時はタッチパネルも電車の駅などで使われる産業用のものしかなかったので、工場でそれを使うという発想はとても新しかったんです。そうした点も含め、このプロジェクトは、制御システム全体の可能性を広げたものだったと感じています。これまでは、現場に対し制御室におけるパソコンでの確認が当たり前だったのが、タブレットやタッチパネルを使うことで、現場でも確認できるようになりました。この新しい取り組みは私の視野を広げましたし、当社やお客様にとっても大きな価値をもたらしたと考えています。皆さんは、このプロジェクトを通じて何か感じたことはありますか?
- 谷口
- そうですね、他社のつくられたソフトのバグの多さを見て、改めて自分の仕事によってお客様の信頼を失ってしまう可能性があることを実感しました。今回は他社のソフトでしたが、私が設計するにあたっても、絶対にミスが起こらないとは言い切れません。そうした時に大切なのは、フォローをし続けること。せっかく営業が頑張って受注してくれたお客様ですから、その信頼をより高めていけるような仕事をしていかなければと肝に銘じました。また、この食品メーカーに関しては、ありがたいことに今でもお付き合いをさせていただいていますので、こうしたつながりを後輩達にたくさん残していければと考えています。
- 日置
- いいですね。私は、当社ならではの結束感や連携力を今後も大切にしていきたいと思っています。私の役目は、お客様と社内の方々だけではなく、工事業者などの協力会社も含めたすべての橋渡しです。それぞれの話を聞きながら、皆さんが気持ちよく働けるようにうまく調整しつつ、より高い連携力を発揮できるような存在になりたいですね。
- 澁谷
- 私としては、最初に谷口さんも言っていた通り、新しい挑戦から様々な経験を得られたことが大きな財産となりました。お客様との関係の構築もそうですし、社内の方々との連携など色々な経験をさせていただけたことで、ステップアップにつながったのではないかと考えています。また、仕事を進めていく中で実感したのは、周りの方々とのつながりの大切さです。日置さん、谷口さん、古川さんをはじめとする社内の方々や、協力会社の助けがあったからこそ実現できたので、本当に感謝しかありません。これからもこの想いを忘れず、時代の先を行くような新しい挑戦に取り組み続けたいと思います。